栗山英樹監督 TBSインタビュー、指揮官が振り返るWBC 

みなさんごきげんよう。野球大好きHIDEZOです。

WBC、侍ジャパン優勝。準決勝メキシコ戦、決勝アメリカ戦、とくに熱かったですね。手に汗握り、もう何度も泣きそうになりました。そして勝利の瞬間、叫んででしまいましたね。野球好きはもとより、WBCをきっかけに野球を見始めたみなさんも感謝・感動・感激したことと思います。そんなWBCを栗山監督目線で振り返ってみたいと思います。

報道ステーションの大越健介キャスターが素晴らしいインタビューで栗山英樹監督に聞き出してくれましたので、全文引用+HIDEZOの感想を織り込みながら、WBCを回想したいと思います。

栗山英樹監督に聞く「うれしさ、さみしさ、金メダル」

(Q.帰国されて、どれだけ多くの日本人が見守っていたかを感じましたか)

「もう本当すごかったですね空港から。本当にありがたかったですし、力もらいましたし、うれしかったです」

(Q.侍ジャパンのメンバーたちはそれぞれのチームに帰りました。寂しくないですか)

「あれだけうれしい思いは二度とできないかもしれないので、すごい悲しいですけど、もっともっと彼らはがんばってくれるので、また野球を応援していきます」

(Q.金メダルはいかがですか)

「メダル初めてですけど、重いです。責任の重さもありましたし、それを感じるのかもしれないですけど、すごく重いので」

(Q.監督がメダルを授与されるのは、野球ではあまり見ないですね)

「そうですね。ですから、うれしかったです」

日本のWBC優勝は2009年、2012年に続き3回目です。栗山ジャパンの優勝は特別な意味があったと思います。今大会、初めてMLBの選手が本格的に参戦しました。米国は投手以外はドリームチームでした。準優勝のメキシコはじめプエルトリコ、ドミニカ、ベネズエラ、オランダ、カナダなど多くの国にメジャーリーガーが参加しました。本当に実力が拮抗していた大会だったのです。

日本は一次リーグから全勝の完全優勝でした。それに対し、アメリカはメキシコに敗れ、ベネズエラが躍進、優勝候補のドミニカ、オランダは一次で敗退。オーストラリアが勝ち進みました。栗山監督が選手を愛弟子ダルビッシュを招へいし、チームをまとめ上げたことが侍ジャパン最大の勝因と言えるでしょう。

そんな思いがあるからこそ、「兵どもが夢のあと」感がひとしおだったとHIDEZOは思います。

栗山英樹監督に聞く「世界一の瞬間」

(Q.最後のマウンドにはやはり大谷翔平選手がいました。優勝決定の瞬間、大谷選手は喜びをはじけさせていましたが、ご覧になっていましたか)

「僕は今、初めて見ました。僕はバッターの方をずっと見ていて『トラウト空振りしてくれ』って。そっちばっかり見ていて、三振した瞬間、僕はコーチとハイタッチしていたので、彼の姿を見てなかったです。本当にうれしかったです」

(Q.大谷選手がよろこびを爆発させてるシーンを見ていかがですか)

「久しぶりに長い間、翔平と一緒にいて、やっぱりこれがやりたかったんだなっていう。なかなかエンゼルスでチームが勝ちきれない。これ負けたら終わりっていう中で、全力を出し尽くす。勝つために命をかける。そんな感じの約1カ月だったので、今見て、これがやりたかったんだろうなって。本当に全力尽くして勝ち負けを競う競技なんだっていうことですね」

(Q.最後のバッターがチームメイトのトラウト選手で、日米両雄の戦いになりました。ドラマを超えたドラマだなと思いましたが、どうご覧になりましたか)

「普通、僕そういうのを色々考えながら、試合展開を見ていくんですけど、いきなり翔平が出てきて、フォアボールでランナーを出しているので、普通あのリードでなかなかいかない。いつかどっかでやられる可能性を考えてるので。ゲッツーで2アウトになって、トラウト選手が入った瞬間に『勝てるかもしれない、この物語』って思いました。物語ですよね完全に。最後に大谷対トラウトで試合が決まるっていうのは、全世界の夢なはずなので『野球の神様がこう作ってくれたのかな』って思った時に初めて『勝てるかもしれない』って思いました」

(Q.野球の神様は、ここまで心にくい演出をするのかって驚かれたんじゃないですか)

「あの試合の最後の展開っていうのは、良いピッチャーをつないでいくって思っていましたけど、まさか、こういう物語の終わり方をするんだっていう。もしかすると、一人ひとりのジャパンだったり、大谷翔平の持っている大きさだったりとか、野球の神様に祝福されてる選手なのかなっていうのは感じます」

「野球は筋書きがないドラマ」と言われます。

しかし今回のアメリカ戦の終わり方は最初から野球の神様がシナリオを描いたようなフィナーレでした。生きの良い若い侍投手が次々に登場、銀河系最強打線というバッターを2点に抑え、ダルビッシュ&大谷翔平で締める。しかも最後のバッターはMLB最強のマイク・トラウト。トラウトと大谷はチームメートで盟友なのです。そして大谷は力の勝負で勝ち切りました。ドカベンの水島新司先生が描いたような展開、いやそれ以上だなあとHIDEZOは感じました。

栗山英樹監督に聞く「采配の裏側」

栗山監督は、報道ステーションのスポーツキャスターとして出演されていました。昔の仲間たちの報道ステーション・スポーツ班が「ここツッコミたい」というところを3つ挙げました。

(1)1番 ラーズ・ヌートバー

(Q.ヌートバー選手は、スポーツ班の中でもほとんど知られていませんでした。結果は大成功でしたが、なぜ、ヌートバー選手を呼ぼうと思ったのでしょうか)

「色んな要因があって。まずはポジション的に。日本では今、センターラインの超一流選手たちが、だいぶ年齢を重ねていく時代にあって。センターというのが、1つのテーマだったことがまず1つあるんですね。そこで僕は、ヌートバー選手とクアン選手の2人が何とかいけないのかなと思って。本当は1人って言いながら、実は2人入れちゃいたいなって。クワン選手はインディアンスの打率が良いバッターで、ヌートバー選手と2人で外野に入ったら、すごい強いだろうなって思っていたんです。ただ、日本にルーツがあるとはいえ、日本の皆さん、野球ファンの意識で、いきなりアメリカでやってる選手を2人入れることが良いのか悪いのか。そういう色んなことを考えていくなかで、たまたまクワン選手が規定上入れなかったんですよ。おじいちゃん・おばあちゃんが日本国籍で、お父さん・お母さんじゃないとダメなので。そういう流れのなかで1人になったんですけど、ヌートバー選手と話をした瞬間に、めっちゃいいやつだし、絶対大好きになると思えたので、僕は行けると思いました。ただ、活躍するかどうかはやってみたいと分からないので」

(Q.1番・切り込み隊長に迷いはなかったですか)

「使って結果が出なければ変えることは考えますけれども、この思い切りの良さと全力プレーというのは切り込み隊長にぴったりだったので。まずは1番からいきたい。センターで行きたい。普通センターって、両脇の外野選手に声をかけて指示をするので、真ん中のセンターっていうのは日本人の方が絶対に良いってよく言われるんですけど。僕はヌートバーならできると思ったので。案の定できましたね」

(Q.ヌートバー選手が入ったことで、ペッパーミルパフォーマンスも流行りました。野球を見たことない人たちまで巻き込んで盛り上がっていたと思いますが、その想像はしてましたか)

「そこまでは、ちょっとできなかったです。ただ、野球を知らない人も、彼の野球をやる姿っていうんですかね、僕も大会中ずっと感動してました。今回、絶対に泣くまいと決めていたので、感動して泣くのをやめようってずっと思ってました。だけど、彼の一生懸命さを見てると、涙が出てくるっていうか。そういう選手だったので。それは皆さん感じてくれたのかなと」

ラーズ・ヌートバーの選出が発表された時、誰?と思った人が多かったです。HIDEZOもその一人です。

しかし栗山監督の人選は素晴らしかった。選手としての才能は申し分ない上、チームや野球ファンに与えるポジティブな影響がハンパなかったです。

ラーズは日本人より日本的。礼儀正しく、素直で協調性があり。祖国愛があります。そしてあの愛くるしい笑顔。ペッパーグラインダーのパフォーマンスは想定外だそうですが、スターの要素は詰まった選手です。これはHIDEZOの想像ですが若いメジャーリーガー、25歳のラーズのお陰で若き侍がリラックスできたと思うのです。「ラーズができるんだから若い俺達でも戦えるんだ」って。ラーズの愛くるしいキャラ、全力プレーは少年、女性ファンを増やしたと思います。きっとMLBのカージナルス戦の視聴率は上がるでしょう。蛇足ですがカージナルスはMLBで最も多くの選手をWBCに派遣したチームです。WBCを軽視したヤンキースとは大違いです。

(2)準決勝の投手リレー 先発・佐々木朗希 → 2番手・山本由伸

(Q.どちらかが準決勝で、どちらかが決勝かなと予想されたなかで、準決勝で2人のリレーでした。これはどう考えていましたか)

「もともと、準々決勝で大谷選手とダルビッシュ選手の2人を使いました。それを『もったいない』という意見ももちろんあるんですけど、負けたら終わりなんで。日本の誇る4枚の先発ピッチャーを、2人.2人で行っちゃいたかった。どうしても勝ちたかったので。そういう流れのなかで、佐々木投手と山本由伸投手、ふつうは準決勝・決勝なのかもしれないですけど、この大会を見てると、2番手のピッチャーがすごく難しいです。第2先発と言われる人たちが。ただ、この2人だったら、勝ちきってくれるんじゃないかっていうのもあったので、僕はあえて、ここで勝負するべきだと思いました」

(Q.その結果、決勝の先発に今永選手を温存できた形になりましたね)

「そうですね。今永投手の状態がすごく良かったのもありますけれども、あまり決勝のことは実は考えていないというか。今日を一生懸命じゃなかったら、明日はないので。今日負けたら明日がないので。何かをとっておいて負けるほどバカなことはないので、全部使い切る全部使いきると、準々決勝から実は思ってたんですね。じゃあ何で佐々木が先で、山本が後なんだって意見もあるんですけど。やっぱり2人目が難しいんですよ。準備とか、いつ行くか分からないし。由伸はリリーフをやっていたので、その経験もありますし、試合数の経験もあるので。朗希に先行ってもらって、由伸と2人で、8回くらいまで行かないかなっていうのが僕の計算だったんですけど」

栗山監督はメキシコ戦はアメリカ戦よりも恐れていたとHIDEZOは思うのです。メキシコは一次リーグでアメリカを破っています。メジャー組も8名。戦力は日本とそん色ありませんでした。もし10試合試合をしたら6勝4敗とか5勝5敗になるような相手でした。

そこで大谷&ダルを投入し接戦をものにしたのは大正解です。山本由伸を第二先発で使ったのもよかったと思います。HIDEZOがドキドキしたのは佐々木朗希の不運、(ライナー直撃、幸運なラッキーヒット2本からの3ラン被打)傷が残らなくて良かったです。

(3)決勝の継投 今永-戸郷-高橋宏-伊藤-大勢-ダルビッシュ-大谷

(Q.2番手に戸郷選手、3番手に高橋投手。決勝の大舞台で、非常に緊張するところに若手を投入しました。ここは大胆だなと思いましたが、いかがでしたか)

「今永投手はあれだけ実績があり、すごく状態も良かった。でも、話を聞いてみると、ものすごい緊張で、試合前に話していることがよく分かってなかったという。全員緊張するんですよ。若い人たちも経験ある人も。だったら、ボールが勢いがあって、プラスアルファが生まれるような人、若い人をいった方が可能性が高いという、僕の逆説的な発想というか。そういうものを含めて、ピッチングコーチと話をして。

誰がいけるかなっていう話をしてるなかで、こういう順番になってるんですけども。緊張は皆するので。めちゃくちゃするので。僕は今回、ピッチャー交代の時にマウンドに行って話すようにしていたんですけど、誰も僕の話を聞いていないんですよ。緊張していて、監督から何を言っても素通りしているが分かるんですよ。野手にちょっと話をして帰ってくるんですけど。であるならば、緊張して、思いっきり力が入った状態でどうなるんだろうって見た方が良いのかなと思いました」

(Q.戸郷・高橋ときて、次の伊藤選手がゲームを落ち着かせたように思いましたが、いかがでしたか)

「この中で、伊藤大海はリリーフで結構投げていたので、僕の中で一番安定感があったのが伊藤大海だったんですよ。大勢も基本的には抑えで考えたので、そこまでいけばスッと流れるかなっていうのはちょっとあったんですね。良かったです伊藤大海。素晴らしかったです」

(Q.僅差のリードを保って、8回にダルビッシュ投手、9回に大谷投手。ここはまさにドラマ以上の展開でした。このケースは頭の中にありましたか)

「これはずっと考えていました。去年11月ぐらいから。8月にダルビッシュ投手の所に行った時に、出る出ないは別で、どういうパターンなら投げられるかなと。先発しながらリリーフとか行けるのかなとか。そういう、こっちの感覚の話を実はしてたんですね。この2人がこの短い期間に、3登板できないかなと思ったんですよ。最後の試合は1~2イニングと分かっていたので、一番厳しいところの8~9回を勝ってたら行きたいっていうのはありましたけど。そうなるかどうか。実はダルビッシュ投手が、登板間隔が詰まってしまったりとかしてて、基本的には2回でやめようって話を本人としていました。ただ、本人が行けるってなったら『いつでも良いから言ってくれよ』って僕は言っていたんですよ。もう1回行けるんだったら決勝戦いってきてねと。決勝戦の日に球場に行って話していたら、ピッチングコーチが来て『ダル行けるって言ってます』って。“行ける”っていうのは『行きますよ!』という感じなので。なので、2人に託すという感じだったんですけど」

(Q.2人の『決勝行きます』という力強い言葉を期待して待っていたということですか)

「翔平なんかもそうですが、どっちかと言うと“あまのじゃく系”なので。決勝戦のことは一切何も言わないで、ずっと待っていました。翔平は、アメリカに入った時、決勝戦の3日前の練習日に雰囲気を出してきてて、最後『行ける感じっすよね』みたいな雰囲気になってきたんで。体の状況をみて『後は体の戻りさえ良ければ行けるかもしれないです』っていう。ようするにそれは『監督、準備しておいてくださいよ』っていう感じもありますよね」

(Q.大谷選手の頭の中には、自分がクローザーで胴上げ投手というイメージができていたのでしょうか)

「クローザーかどうかは分からないですけど『監督が使いたいんだったら、1~2イニングくらい行けますよ』っていうメッセージというか。それを僕は待ってたのでずっと。『投げてほしい』って僕は口にはしないですけど、多分、彼も分かってるだろうしっていう、そこの暗黙の空気感なんですけど」

(Q.優勝を争う場面で、最後のマウンドに立てたというのは、大谷選手にとっても大きかったですよね?)

「ああいう試合がやりたかったと思うし、特に、あの試合の流れの、メジャーの一流バッターが並ぶ最終回での1点差は、本当にプレッシャーがかかったと思います。翔平でさえも。あそこを投げるピッチャーは本当に難しかっただろうなって思います。僕がということではなく、チーム全体の選手たちが『この人が投げてやられたらしょうがない』みたいな人が行くべきだと思ったんで。そこは良かったし、あそこで抑えきるところも、あまり褒めたくはないですけど、すごかったと思います」

(Q.短い回を皆がそれぞれの責任を果たして、期待に応えてゲームを作りました。これだけ皆が役割をこなすというのは、なかなか見られないと思いますが、なぜできたのでしょうか)

「勝つためには、これしかなかったっていう。先発ピッチャーも、そこまでに使っていっちゃうので。最後の決勝戦に行けたら、こうなる可能性が高かったんです。何人ものピッチャーを使うと、やっぱり誰か調子悪い人が出てくるんですけど、これだけのピッチャー陣だったら、それを超えてくれるって信じるしかないというか。そういうのは最初から思ってたので」

WBC開幕前から「今永の調子が最高に良い」と栗山監督は言っていました。決勝の先発を彼に託したのだと思います。韓国戦でも先発し、好投しました。大谷、ダルビッシュ、山本、佐々木の4本柱と比べても今永投手の球威、制球力は大差ないと思います。ターナーに失投をとらえられましたが、ソロ一本で抑えたのはすばらしいです。

そのあと、戸郷(22)~高橋(20)~伊藤(25)~大勢(23)とつなぐわけですが、全員が25歳以下。メジャーリーガーは驚いたでしょう。米国のメディアは「なぜ20歳の投手が打てないんだよ!」と嘆いていました。ドラゴンズの高橋の球はキレキレでしたからね。

これだけ小刻みに投手交代すると一人ぐらい調子が悪い投手が出てくるもんですが、全員がすさまじい投球をしました。これはダルビッシュ兄貴効果だと思っています。「たかが野球じゃないか、人生のほうが重要だ」とプレッシャーにつぶされない精神力を投手陣に植え付けました。「ダルビッシュさん、若手の兄貴になってくれてありがとう」とHIDEZOは申し上げたい。

(Q.信じての選手起用は守備の面でも。源田選手は右の小指を負傷して、テーピングでぐるぐる巻きにして出てきました。あそこで起用した栗山監督はどんな思いでしたか)

「どこまで話して良いのかよく分からないですけど。セカンドで交錯して、指を骨折して、ベンチ裏に帰ってくる。僕はベンチにいるので見てないですよ。源ちゃんは、ちょっと治療してセカンドランナーに戻っていって。その時に『監督、指が完全に横向いてます』と言われました。それなのに、痛み止めを飲んでバーっと行くんですよ。その魂というか。それはもう本当に感動しました。次の日に、僕が外そうと思って、源ちゃんと話したんですけど、『いや監督。本当に、このWBCに全てをかけます』と。ある程度プレーもできることも確認できて。僕は『源ちゃんでかける』って思いましたし、他の選手全員もそうやって思っていました」

(Q.村上選手は当初4番で、最終的に5番に。そして、準決勝にタイムリー、決勝でもホームランを打ちました。栗山監督の中で、4番に据えた村上選手を5番にすることには、どういう思いがありましたか)

「例えば、吉田正尚選手だったりとか、鈴木誠也選手、大谷翔平だったりとか、日本の4番を打てる人たちが育ってきていて。僕はやっぱり村上選手、ムネが日本の4番になると信じてるので。強い4番を確実に作っておきたいっていう皆の思いがありました。ただ、なかなか状態が上がらない。練習試合の時には1回、監督室に呼んで話をしました。大会が始まってから、次は電話で話をしました。アメリカ行ってから2日間とも、僕はメールを入れました。もちろん、打順を外したり、4番に戻さないことについて、今回に関しては、僕の思ってることをちゃんと伝えるべきだと思ったんで。色んなやり方で伝えてきました。あれだけのバッターなんで。打たないかもしれないですけど、僕は絶対に、この大会期間中に使うと思ったので。これは根拠があるとかないとかではなく、僕がそう思っただけなんで。あのサヨナラの時も、もちろん前の回からノーアウト1塁2塁で、村上選手に回るの分かってるんで『バントの用意してね』ってコーチには伝えて、バントの選手も準備してるんですよ。そのケースになった時に『いや、やっぱり勝つなら村上だ。ムネは打つんだ』っていうところ。幅を広げてみると、外野に大きなフライが上がれば、周東選手を置いておけば、1・3塁になって、盗塁で2・3塁にもなれるとか。そういう色んな幅を考えるんですけど、なんでそっちを選んだのって言われるとすごく難しいんですけど。僕は、本当に打つと思ったんで。これだけ苦しんだら、絶対大事なところで打てると思ってやったので」

まず源田選手、HIDEZOは源田選手は顔は地味だし、打撃のパワーはない。まあ脚が早くて守備の職人だよねって印象でした。熱い男っていう印象はゼロだったのです。源田選手ごめんなさい。

しかし貴方は熱い男だった。そして守備はひたすらクールだった。骨折後もヒットを打っていたし、根性ナンバーワンで大好きになりました。けがを完治させてtまたゴールデングラブを取って欲しいです。

若き三冠王、村上様、村上宗隆選手。彼は最も辛い状態だったのは間違いありません。まったく自信を失い打てる気がしなかった。見逃し三振、バットが出ない。でも栗山監督は信じて使い切りました。村上宗隆(23)、岡本和真(26)は2026のWBCで中軸を売ってもらわなければ困る。この二人には2023で苦しんで打ち勝ってもらうのだという栗山監督の執念を感じました。「(投手は)一戦必勝」「(打者は)次世代育成」を同時にやる。これが栗山監督のすごい戦略です。

栗山英樹監督に聞く「大谷翔平」

(Q.メジャーリーグに行きたがっていた大谷選手を日本ハムに引っ張って“二刀流”を2人で二人三脚でプロとして始めました。大谷選手が“二刀流”両方の活躍をこれだけ見せてくれたということは、栗山・大谷関係も一段落というか、1つのショーが終わったのかなと思いましたが、どうですか)

「終わったというか、僕らは世界一の選手になると思って、早めに世界に送り出したというところがあって。この大会でこれだけ打って、これだけ投げて、最後の最後までやったっていうのは、新たな道を翔平が歩む中間点で、本当に1人で歩み始めるのかなっていう感じはする活躍だったと思います」

MLB志望の大谷翔平を強引に指名し、二刀流を磨かせてエンゼルスに送り出した栗山監督。自分の手を離れた若武者は強く大きな侍になって日本代表に戻ってきてくれました。そしてWBCが大谷ショーになりました。

大谷翔平の商品価値が上がる場にもなったと思います。おそらく先発投手はあと数年年でしょう。そこからは4番打者+抑えの切り札としての使い方もあるかもしれません。大谷選手がどこまで進化するのかは師匠の栗山監督でも想像できないでしょう。

栗山英樹監督に聞く「リーダー論」

サッカー日本代表の森保一監督からメッセージ届いています。

サッカー日本代表・森保一監督:「大変な気苦労と責任を背負って戦われていたと思いますので、本当におめでとうございます。気苦労たくさんあったと思いますので、少しゆっくり休まれて下さいということを、お伝えできればと思います」

(Q.同じジャパンを背負った監督同士、その責務を全うされて、今、改めてどう思いますか)

「なかなか試合に出られない選手のアプローチの仕方とか、森保監督には色々教えていただいた部分も大きかったので、ああ言っていただけると、ちょっとだけほっとします。ありがとうございます」

(Q.「あれだけ多くの選手がいるなかで、どのように戦術などを落とし込んでいるのか。一人ひとりとのコミュニケーションをどう取ったのか」と森保監督から質問が来ています。どうでしょうか)

「コミュニケーションはすごく取りました。皆、超一流選手なので、僕以上に勝つために何が必要かっていうのを分かっているので、逆に厳しくいかなきゃって思ったので、意外とバッサリいきました。だから、ちょっと試合数が少ない選手も出てきて、僕に対して怒っているかもしれません。でも、心の中で『勝つためには、この形ですよね』って、頭の中で分かってもらいながらいるので。超一流選手だからこそ、理解し合えると思っている。どちらかというと、今まで以上にはコミュニケーションを取ってないかもしれないです。それが、超一流の選手のプライドだと思います。説明すると、言い訳っぽくなりますよね。そんな感じでした」

(Q.印象に残った場面がありました。優勝が決定して、選手たちが記念写真を撮ったりしてるところです。牧原選手の真正面に立ち、何か伝えていますよね。これが栗山流ですか)

「途中からマキに来てもらって、なかなかたくさんの試合に出てもらうことができなかった。でも、一流選手というのは、僕がこう思ってやったんだっていうことを、真正面からちゃんと伝えたら、納得はしないけど、僕の言っていることは理解してくれるというすごさがあるので。それは伝えました」

(Q.目と目を見て、直接対話をしてるということを心がけていますか)

「言葉の選び方ではなくて、心の中にあるすべてを本当に正直に伝えるためには、真正面から向き合わないと伝わらないので、それは普段から思っています」

(Q.チームをまとめるうえで大きかっただろうと思うのは、ダルビッシュ選手の存在ですよね)

「実は、ダルビッシュは今大会、調子が良くなかったです。あまりにも皆の練習に付き合って、皆のためにやって。実は、決勝戦の前も若いピッチャーに、アメリカのバッター情報を教えてくれていました。自分が投げるのにもかかわらず、そこまでチームに貢献してくれた。最後、ダルに『本当に申し訳ない。自分の調整もできなくて、本当に苦しかったよね。勘弁してくれ。ただ、本当に日本の野球のためになった』と謝りました。そこまでやってくれました。

(Q.チームの雰囲気が良いなと感じていました。これは栗山監督が意識して、こういう監督でいようという考えはありましたか)

「雰囲気がいいのは、僕じゃないですね。選手同士が1つにまとまるということが一番大事で、それが、うまくいかない時に監督が手伝うというふうにしか思ってない。僕がということは、本当にないです。バランスよく選手たちが、役割を果たしてくれて、選手が1つになってくれたというのは実感しています」

(Q.ダルビッシュ選手がメディアに対し、何度も「優勝するためではなく、野球が楽しいというのを見せたい」と話していました。選手たちは厳しい戦いのなかで悲壮感なく、楽しんで、興奮してみせたのは財産だと思いますが、どうでしょうか)

「ずっとついている方が『こんな雰囲気のジャパン初めて見た』と言っていて、僕は前が分からないのですが、非常にオンとオフのバランスが良かったですね。ダルも勝ちたかったと思います。せっかく来て。『勝つためにリラックスして、楽しくやろうよ』と言ってくれていたと僕は捉えています」

栗山監督は素晴らしい「人たらし」なリーダーだとHIDEZOは思うのです。

出場機会が少ない選手に声をかける、調子が悪い選手を気遣い信じる。自己犠牲的なダルビッシュにお礼とお詫び、夢の実現にまい進する大谷をのびのびやらせる。

選手一人一人に寄り添うリーダーシップを発揮してくれたと思います。これは一般企業でもあるべきリーダーの姿です。

野球に限らずチームう組織が最大のパワーを発揮するのに必要なのは「リーダーの人間性」なのです。「この親分は自分を理解し、気にかけてくれている、その下で共に戦う仲間がいる。失敗を恐れず委縮せず最善を尽くそうというポジティブな心理状態になること」が大切だと思います。一つも負けられないトーナメントや企業の重要プロジェクトでは特にそうです。

栗山英樹監督に聞く「日本野球」

(Q.監督は何度も「自分たちの姿を見て、子どもたちが『よし野球をやろう』と思ってほしい」と言っていますが、子どもたちにどんなメッセージを与えることができましたか)

「今回、出てくれた選手たちは皆、子どもの時にWBCを見ていて、こうなりたいと思っていた。僕から見ていても選手は格好良かったので、僕が子どもだったら『こんなふうになりたいな』というふうに見えたと思うんですよね。こうなりたいという気持ちは、すごく頑張れるし、我慢もできる。そういうことを選手たちが伝えてくれたなと。それが、一番うれしいです」

(Q.少子化が進んでいて、スポーツをやることにハードルが高くなっているなかで、WBCのジャパンの活躍が、すごく鮮烈なメッセージになったなと思いますが)

「個人は大事ですけど、誰かのために頑張っているという面が野球にはあるので、そういう面も伝わったらうれしいなと思います。人を助けてあげるというのは、自分が力をつけないと人を助けてあげられない。試合中も人のミスをカバーできないので。そういうのを、何回かミーティングで伝えさせてもらっちゃいました。選手たちの方が持っていましたね」

2009年、2012年のWBCで日本は連覇し、少年野球の競技人口が15万人から17万人に増えたそうです。大谷、佐々木、岡本、村上はイチローや松坂大輔に憧れてプロになりました。実際に大谷翔平は花巻東高2年の時に「27歳でWBCでMVP」と夢を語ってそれを実現しました。

やはり国際大会で野球を盛り上げる、ナショナルチームを作って強豪国と戦うというのは素晴らしいことです。日本のトップ選手が集結し、技術論やメンタル、練習法、コンディショニングで情報交換をする。トッププロの自己研鑽の場でもありました。野球を通じて助け合う励まし合う、力の限りを尽くすという素晴らしさを感じることができるのです。

栗山監督に聞く「これから」

(Q.侍ジャパンの野球が世界に与えた影響は大きいと思いますが)

「これだけの国と戦ったは初めてですけど、色んな交流もできるし、人の優しさも感じられるし、すごく意味があったなと思います」

(Q.日本の野球文化がさらにパワーアップをして、新しい独自の形を作ったなと思いますが、いかがですか)

「そうですね。広がり始めたという感じがしますね」

(Q.栗山監督の「最後のユニホームなると思う」という言葉は、寂しいなと思うのですが)

「僕が監督やってて、ファイターズの時もそうだったのですが、契約ってありますよね。契約は1回、切れるべきだと思っています。だから、今回のこの大会が終わって、契約が切れたら1回、ユニホームを脱ぐ。いつも『これが最後だ』と思ってやってきたので。また新しい契約が来れば、考えるという話です。そのぐらい覚悟を持って、監督というのは、1日1日過ごすものだと思っています。そこで終わるというふうに思ってやるべきだと思います。ただ、僕がやらなければならないことがあるのであれば、何でもやるということです」

HIDEZOは栗山監督はまだまだ現場で活躍してほしいと思います。いったんユニホームを脱ぎ、解説者もやるでしょうが、また監督をやって欲しいです。

70代になったらJPBのコミッショナーになって欲しい。プロ出身者、優勝監督経験者がJPBのかじ取りをしてほしいと切に願います。そしてJPBの球団数をできれば12→20にして選手数を増やし、ポストシーズンをもっと盛り上げてほしい。野球の力で地域の活性化を図って欲しいと願います。

栗山英樹監督「まとめ」 &インタビュアーの大越健介氏について

(Q.応援してくれたファンの方々にメッセージをお願いします)

「アメリカに行っても、日本の皆さんがどれだけ応援してくれたかは感じました。今回のコロナで、ファンの方が球場に来てくださることが、どれだけ力になるか。思いというのは、人を動かしてくれるんだというのを感じました。僕もそうですけど、日本のプロ野球の選手は、これから必ず皆さんに恩返ししてくると思うので、ぜひ、これからも応援していただきたいと思います。ありがとうございました」

正岡子規がベースボールを野球と命名し、日本に野球文化が定着しました。日米野球でベーブルースも来てくれた。それから80年、100年経ちました。野茂英雄、イチローをはじめ多くの選手がメジャーで通用することを証明しました。さらに6回のWBCで3回優勝。今回、本気のアメリカにもついに打ち勝ちました。夢のようです。そのアメリカは日本をリスペクトしてくれています。日本にベースボールを教えてくれたアメリカに感謝ですね。

現在の大谷翔平を見て全国、全米、世界中の少年少女が憧れ、夢を持ちました。きっと第二の大谷翔平が生まれると信じます。

HIDEZOは50代ですが息子世代の選手が活躍するのを見て本当にうれしいのです。日本の若者、礼儀正しく、優しく、仲間思いで強いなあと。

最後に、このインタビューを担当してくれた大越健介キャスターに感謝です。

NHKからテレビ朝日に移籍した大越氏。

新潟高校野球部&東大野球部出身。東京六大学で投手として8勝27敗。1983年の日米大学野球代表に東大生として初めて選出されました。大会ではあのマーク・マグワイアと対戦したそうです。すばらしい野球のキャリアと聡明な頭脳の持ち主です、その大越氏とテレビ朝日の周到な準備で素晴らしいインタビューを聴けたことに心から感謝申し上げます。

最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。これから始まる野球シーズンを一緒に楽しんでまいりましょう。

 

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